データ分析から考えるキャッチャー併用の是非と学生野球での起用法

知識

昨今の野球界ではピッチャーに応じてキャッチャーを交代させるキャッチャー併用のスタイルが増えています。

ピッチャーや相手チームと相性がいいキャッチャーを都度起用したほうが良いのでは

キャッチャーは固定したほうが一貫した戦い方ができるはず

このようにキャッチャーの併用には賛否両論あります。

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この議論について、独自のデータ分析を行い、キャッチャー併用のメリット・デメリットを考察します。
そのうえで中学・高校などの学生野球ではどのようにキャッチャーを起用するべきか、筆者の考えを記載します。

キャッチャーの併用と失点数の関係

まずはじめに、キャッチャー併用の効果をデータから分析します。
分析には2026年度のプロ野球前半戦のデータを使用します。

各球団のキャッチャーの出場イニング数の偏りとチーム防御率の関係を調べ、どのような関係があるか分析します。結果は以下のグラフの通りです。

縦軸がチーム防御率、横軸が偏り度合いを表しています。
グラフの通り、偏り度合いが低い(キャッチャーを併用している)チームほどチーム防御率が低い傾向が見られました。

また、決定係数(R2)も0.466であり、少なからず相関があることがわかりました。

グラフ上にある偏り度合いが低いチームは巨人と西武です。巨人は大城と岸田、西武は古賀と小島で出場機会が分散し、いずれもリーグトップのチーム防御率になっています。

一方で偏り度合いが高いのはロッテです。佐藤が4分の3近くのイニングでマスクをかぶっており、チーム防御率は3.61とリーグ4位になっています。

以上の結果から、キャッチャーは併用したほうが良いと考えられます。

キャッチャー併用のメリット・デメリット

データ分析では、キャッチャーを併用しているチームほどチーム防御率が低い傾向が見られました。
そこでキャッチャー併用することによりチーム防御率が下がる理由を考察します。

相性の良いキャッチャーを起用できる

理由の1つ目は、相性の良いキャッチャーを起用できる点です。

  • ピッチャーとの相性
  • 相手チームとの相性

キャッチャーにはピッチャーを乗せるタイプと引っ張るタイプがいます。他にも構え方や配球など、キャッチャーによって異なる部分が多いです。

そして、ピッチャーにとって投げやすいキャッチャーのタイプも変わるため、相性の良いキャッチャーを起用することで、ピッチャーの力を最大限に引き出すことが可能です。

また、ピッチャーだけでなく相手チームとの相性で起用することも可能になります。例えば、相手チームが足を使ってくるチームの場合は肩が強いキャッチャーを起用することで、相手の強みを封じて試合を有利に進められます。

このように、キャッチャーを併用することで試合ごとに適したキャッチャーを起用できるため、結果的にチーム防御率が下がると考えられます。

不足の事態の対応

理由の2つ目は、不足の事態に対応できる点です。

キャッチャーが負傷交代する際に試合経験のない補欠キャッチャーが出場した場合、守りのレベルが大きく変わることは明白です。
一方で普段から試合経験のある併用しているキャッチャーの場合、守りのレベルを落とさずに試合を進められます。

以上2つの理由から、キャッチャー併用することでチーム防御率が下がると筆者は考えています。

キャッチャー併用のデメリット

一方でキャッチャー併用のデメリットは、キャッチャー育成に時間がかかる点です。

ピッチャーとの接し方やリードの組み立てなど、キャッチャーは経験がものを言うポジションです。
また、キャッチャー併用するということは1人当たりの出場機会も減るということですので、スタメンレベルのキャッチャーを育てるのにより時間がかかります。

そのため、キャッチャーの併用は実現が難しい、下手をするとレギュラーレベルのキャッチャーが1人もいないという状況に陥る可能性もあるということになります。

学生野球でのキャッチャー起用法

上記の考察も踏まえて、中学・高校などの学生野球のキャッチャー起用法について考えます。

  • 中学・高校野球は2年半
  • 次の代のことも考えた起用法が重要

キャッチャーは1学年1人として、併用するのであれば異なる学年のキャッチャーを併用する形が最も合理的だと筆者は考えます。

理由は併用のデメリットである「育成に時間がかかる」点です。高校野球は2年半しかありません。その中で1学年に2人もキャッチャーがいたら、出場機会の減少によりレギュラークラスのキャッチャーを育てるのは難しくなります。

また、仮に1学年に2人のキャッチャーで併用の体勢を取れたとしてもすぐに卒業します。これが異なる学年のキャッチャー併用だと片方残るため、次の代につながります。

しかし、同学年のキャッチャー併用はこのメリットも享受できなくなります。

以上の理由から、高校野球においてはキャッチャーは1学年1人、併用するのであれば異なる学年のキャッチャーを併用する形が最も合理的だと筆者は考えます。

まとめ

キャッチャー併用の是非と学生野球での起用法について解説してきました。

本記事で開設した内容をまとめると以下の通りです。

  • キャッチャーを併用しているチームほどチーム防御率が低い
  • メリットは相手チームやピッチャーとの相性を踏まえて起用できる
  • デメリットは育成に時間がかかる
  • 期間が短い学生野球ではキャッチャー併用は基本的にすすめられない

もちろん状況やチーム事情によりますが、学生野球ではキャッチャーの併用はおすすめできません。

性格の異なるピッチャーやタイプの異なる相手チームに対して、どのように対応できるかもキャッチャーの能力の一部であることを理解することが重要です。
それも踏まえて指導者は起用する、選手はプレーしましょう。

このブログでは、このようなキャッチャーに関する技術的な内容を中心に解説しています。
以下の記事では2塁けん制の連携方法を紹介しています。興味がある方は是非ご一読ください。

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