
キャッチャーをやっているけど盗塁阻止率が上がらない

肩が弱い選手は盗塁を刺せないの?
キャッチャーをやるうえでセカンド送球は重要な能力です。
そして、セカンド送球の良し悪しを決めるのは肩の強さ(球速)だと思われがちです。
実は、盗塁を阻止するために最も重要なのは、肩の強さではありません。
重要なのは「コントロール」と「平均タイム」です。
セカンド送球はコントロールを改善するだけで、タイムを約0.5秒も短縮できます。
また、セカンド送球の「平均タイム」を意識することで、盗塁阻止率は劇的に上がります。
そこで、この記事では高校まで10年間キャッチャーとしてプレーした筆者が、セカンド送球のコツを解説します。
この記事を読むことで盗塁阻止率を上げるためのポイントと何をすべきかがわかります。
ぜひ最後までご一読ください。
コントロールが重要な理由

コントロールが重要な理由について、「ベストタイム」「平均タイム」「実現性」の3つの観点で解説します。
ベストタイムへの影響
まずは、コントロールが与えるセカンド送球ベストタイムへの影響について解説します。

上の画像は、野手のセカンド送球の捕球体勢を表し、赤点は捕球位置を示しています。
ほんの少しのずれですが、野手は動きながら捕球するため、Bの捕球位置ではAの捕球位置よりも約0.5秒タッチに時間がかかります。
つまり、コントロールが悪い場合と比較して、コントロールをよくすることで0.5秒短縮できるということになります。
一方で、コントロールではなく肩の強さを鍛えた場合を考えます。
仮にセカンド送球の球速が100km/hから130km/hになった時の本塁から2塁までの到達時間は以下の通りです。
- 100km/hの球で約1.39秒
- 130km/hの球で約1.07秒
つまり肩を強くして、送球を100km/hから130km/hにしても到達時間は約0.3秒しか縮まりません。
それよりも、コントロールをよくすることがセカンド送球のタイムを縮めることにつながります。
- コントロールをよくすることでセカンド送球のタイムは約0.5秒短縮できる
- 肩を強くしてもタイムの短縮にはあまりつながらない
崩れた体勢でのコントロール
セカンド送球の練習をする際に送球体勢に入りやすい位置に投げてもらうことが多いです。
そして、セカンド送球のタイムはこのような投げやすい条件で計測されます。
しかし、実戦ではコースを外れた球やショートバウンドを捕球し、崩れた体勢から送球することも多いです。
その際に送球が乱れてしまうようだと、セカンド送球のベストタイムは良いが平均タイムは悪いキャッチャーになってしまいます。
冒頭で少し触れましたが、平均タイムが良くないと盗塁阻止率も上がりません。
平均タイムの重要性は次章で解説しています。
つまり、セカンド送球のコントロールを鍛えるということは、崩れた体勢からの送球も含めてストライク送球ができる能力を身に付けるということです。
また、崩れた体勢から送球する能力が高いキャッチャーは捕球体勢に関わらずスローイングできるため、バッターに集中してリードを組み立てられます。
しかし、その技術が低いキャッチャーはどうしてもランナーを意識したうえでのリード(ストレート、ショートバウンドしにくい球が多くなる)になってしまいます。
- 崩れた体勢からの送球でもコントロールできる能力が重要
実現性の高さ
最後に実現性の高さについて解説します。
セカンド送球のコントロールを練習で鍛えることは、結論あまり難しくありません。
練習方法は本記事の後半で紹介しています。
一方で、肩の強さ(球速)を練習で鍛えることは難しいです。
キャッチャー初心者が基本的なフォームを習得すれば、セカンド送球の球速も上がります。
しかし、ある程度の期間キャッチャーを経験した選手が練習で肩の強さを鍛えるには限界があります。
中学・高校生は体格が変わるにつれて肩が強くなることもあると思います。
ただ、「練習や筋トレ」で肩の強さを鍛えてセカンド送球のタイムを縮めるのは非効果的です。
以上が肩を強くする場合と比較して、コントロールをよくすることによるセカンド送球のタイム改善は実現性が高い理由になります。
盗塁阻止率を高める「平均タイム」の重要性

ベストタイムよりも平均タイムが重要な理由
次に、セカンド送球においてベストタイムよりも平均タイムが重要な理由を解説します。
突然ですが、次のようなタイプが違うキャッチャーが2人いたらどちらが良いでしょうか。
A.ベストタイムはプロレベルだがコントロールが良くない、捕球体勢が崩れると高い確率で暴投する平均タイムが悪いキャッチャー
B.ベストタイムは平均値だが、捕球体勢が崩れた場合も含めて高確率でベース上に送球できる平均タイムが良いキャッチャー
筆者はBのキャッチャーの方が良いと考えます。
盗塁には以下の4パターン存在します。
- ①ランナー俊足+スタート成功
- ②ランナー俊足+スタート失敗
- ③ランナー俊足ではない+スタート成功
- ④ランナー俊足ではない+スタート失敗
図に表すと以下の通りになります。

①は俊足ランナーの単独盗塁、③・④は足が速くないランナーの盗塁ですので、エンドラン等なにかしらのサインによる盗塁と考えられます。
②については単独盗塁、エンドラン等どちらの可能性もあります。
そして、①の盗塁を刺せるのはAのキャッチャーです。
しかし、②から④のようなエンドランで打者が空振りした場合やランナーのスタートが遅れた場合はBのキャッチャーでもアウトにできます。
特にエンドランで打者が空振りする場合は捕球体勢が崩れていることが想定されますので、Bは高確率でアウトにできますが、Aはアウトにする確率が低くなります。
このように俊足ランナーの完璧な盗塁を稀に刺せるキャッチャーより、ある程度の盗塁は必ず刺せるキャッチャーの方が盗塁阻止率が高いのは明らかです。
- 盗塁のパターンは俊足ランナーの完ぺきなスタートだけではない
- より多くの盗塁をアウトにするには、ベストタイムではなく平均タイムが重要
平均タイムを上げる練習方法

縫い目に影響されない握り変えの習慣化
セカンド送球のタイムを縮めるには、先述の通りコントロールを良くすることが効果的です。
そして、コントロールを良くするために重要なことは、指がボールの縫い目にかからなくても投げられることです。
軟式球(M号球、J号球)はくぼみがあるため、縫い目に指がかからなくても比較的投げやすいですが、硬式球の場合(特に試合球)は縫い目にかからない時は投げづらいです。
キャッチボールでは指を縫い目にしっかりかけて投げる選手も多いと思いますが、そのような状態は実戦でのセカンド送球ではあまりありません。
指が縫い目にかからない状態、人差し指だけ縫い目にかかっている状態で普段のキャッチボールを行うことで、実戦でのコントロールが向上します。
崩れた体勢から投げる練習
セカンド送球の練習を「近い距離から投げてもらい、捕って投げる」という形で反復練習を行っている方が多いと思います。
この練習では、ショートバウンドした時とミット側にそれた時の2パターンの反復練習を行うことで崩れた体勢から投げる能力が鍛えられます。
これに加えて、より実戦的なスローイングを鍛える最も良い機会は、試合中のイニング間のセカンド送球です。
イニング間のセカンド送球をなんとなく行っている選手も多くいると思います。
しかし、実際にピッチャーがマウンドから投げ、実戦に近い状況でセカンド送球を行える貴重な機会のため、意識してセカンド送球を行うようにしましょう。
まとめ
セカンド送球のコツとして、コントロールと平均タイムの重要性を解説しました。
本記事で解説した内容をまとめると以下の通りです。
- 肩を強くするよりもコントロールをよくするほうがセカンド送球のタイムを短縮できる
- 崩れた体勢から投げる場合のコントロールも重要
- コントロールを鍛えたほうが実現性が高い
- 平均タイムを意識することで、より多くの盗塁をアウトにできる
わかりやすいベストタイムを意識してしまうのは仕方がないことですが、本質的には平均タイムのほうが重要であることも意識して練習に取り組んでみてください。
また、盗塁阻止率が高いキャッチャーの共通点として、捕ってからの速さも挙げられます。
以下の記事で、捕ってから速くする練習方法を解説していますので、興味がある方はぜひご一読ください。



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