- 「牽制でアウトにするためのコツを知りたい」
- 「二塁牽制の時の二遊間との連携プレーのコツを知りたい」
このように考えている選手や指導者に向けて、今回はピッチャーの牽制について話します。
ランナー1塁の場合、ピッチャーの判断で牽制しているチームは多いと思います。また、ランナー2塁の場合もピッチャーと二遊間が連携して牽制しているチームが多いと思います。
これらの牽制だけでも十分ですが、そこにキャッチャーが加わることで、牽制がより高度な戦術になり、ランナーをアウトにする確率も上がります。
そこでこの記事では、牽制の種類とランナー1塁における牽制の意図とキャッチャーの牽制サイン、ランナー2塁における二遊間との連携方法を話します。
また、この記事は筆者の経験や知識をもとに解説していますが、すべてを実践する必要はありません。一部でも実践できるものがあり、少しでも参考になれば幸いです。
牽制の種類
まずは、牽制の種類について解説します。牽制は簡単に分けると2種類あります。
1つ目は、間を置く牽制です。
間を置く牽制は、サインが出たらピッチャーはセットポジションに入り、自分のタイミングで牽制するという投手主導の牽制です。
2つ目は、アウトにする牽制です。
アウトにする牽制は、サインが出たらピッチャーはセットポジションに入り、キャッチャーが合図したタイミングで牽制するという捕手主導の牽制です。
具体的には、ピッチャーがセットポジションに入り、キャッチャーがミットを下ろした瞬間に牽制というように行っていました。
一塁牽制 使い分け
次に、一塁牽制における牽制の使い分けについて解説します。
まず、牽制のサインを出すタイミングに関してですが、球種のサインの最後に牽制のサインが出れば牽制、サインは「間を置く牽制」と「アウトにする牽制」の2種類にしていました。
球種のサインのパターンについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
一塁牽制において、間を置く牽制をする意図は2つあります。
1つ目は、相手の出方を探るためです。
ランナーが1塁の場合は、盗塁やバント、エンドラン、ヒッティング等、相手の作戦は複数考えられます。そこで、牽制をした際の相手の動きから出方を探ります。
例えば、牽制した際に
- ランナーが2塁方向に一瞬動く → 盗塁、エンドランの可能性
- 打者がバットの持つ位置、立ち位置を変える → バントの可能性
- 監督がサインを出しなおす → 次の投球では仕掛けてこないが、この打者で仕掛けてくる可能性
などが挙げられます。
牽制後の相手の動きや仕草を観察することで相手の動きを探れるため、ぜひ観察してみてください。
2つ目は、ピッチャーを落ち着かせるためです。
ピッチャーは打たれて動揺している、切り替えができていない場合、投げ急ぐ(すぐに投球する)ようになります。投げ急ぐとピッチングに悪影響を及ぼすだけでなく、テンポがわかりやすくなり、盗塁のスタートが切りやすくなります。
そこで、牽制させることで間を置き、自分のテンポで投球できるように落ち着かせます。
次に、アウトにするための牽制について解説します。
アウトにする牽制の意図は、もちろんランナーをアウトにするためです。
アウトにする牽制のサインは、相手の1塁ランナーが単独で盗塁を仕掛けてきそうだと感じたら出します。そして、合図のタイミングは、ランナーの重心が2塁方向に傾いた瞬間です。
ただ、アウトにする牽制は多用しないことが重要です。理由は、投手の負担が大きいからです。
ピッチャーにとって自分のタイミングで牽制できないというのは神経を使いますし、合図を出すまでに時間がかかるため、ボークする可能性も高まります。
そのため、アウトにする牽制は点差や試合の流れも踏まえて、ここぞという場面の必殺の武器として、刺殺率は3~5割を目標に使用するべきだと考えます。
一塁牽制 まとめ
- 牽制のサインは球種のサインの最後に出す
- 間を置く牽制は相手の出方を探るため、ピッチャーを落ち着かせるため
- アウトにする牽制は多用しない
二塁牽制 二遊間との連携方法
次に、二塁牽制における牽制の使い分けについて解説します。
二塁牽制では、一塁牽制のような間を置く牽制は必要ありません。理由は、ランナーが2塁の場合は、1塁の時と比べて仕掛けるパターンは多くないからです。そのため、2塁牽制はアウトにするため、もしくはリードを大きく取らせないための牽制です。
二塁牽制に関しては、二遊間(右投手の場合はショート、左投手の場合はセカンド)がサインを出します。理由は、2塁ランナーの動きがよく見えるからです。
サインの種類は、セットポジションに入ってからの時間(3秒、5秒、10秒)でする牽制とキャッチャーの合図でする牽制の2種類です。
時間でする牽制と合図でする牽制の2種類ある理由は、軸足で回る牽制は時間、プレートを外す牽制は合図と使い分けるためです。
合図でする牽制はピッチャー主導ではないため、時間がかかる軸足で回る牽制ができなくなります。軸足で回る牽制がないとバレると、2塁ランナーのスタートが切りやすくなってしまうため、時間でする牽制と合図でする牽制の2種類のサインを作ります。
また、サインは時間か合図かだけでなく、ショートとセカンドのどっちが何回目に入るかも決めます。
つまり
- ショート・1回目・5秒 → セットに入ってから5秒後にショートが入る
- セカンド・2回目・5秒 → セットに入ってから5秒後にショートが入るが、その前にショートがフェイクで入る
- セカンド・2回目・合図 → ショートがフェイクで入った後、セカンドが入るタイミングでキャッチャーが合図する
という感じです。
また、キャッチャーが合図を出すタイミングのコツは、野手が動いた瞬間です。こちらの動画をご覧ください。
再生速度を落として見ればわかりますが、ショートが動いた瞬間にキャッチャーがミットを下ろしています。そして、ピッチャーは2塁ベース上に投げることでピッタリのタイミングになります。
二塁牽制 まとめ
- 二塁牽制はアウトにするため、リードを大きく取らせないため
- 時間でする牽制と合図でする牽制の2種類
- 二塁牽制のサインは、時間か合図か・ショートかセカンドか・何回目かを決める
- キャッチャーが合図を出すタイミングのコツは、野手が動いた瞬間
牽制 まとめ
今回の内容をまとめると以下のようになります。
牽制 まとめ
- 牽制の意図ははっきりさせる
- 2塁は1塁と比べて作戦が限られているため、間を置く牽制はあまり必要ない
- 走者に簡単にスタートを切らせないために、牽制のパターンは複数必要
牽制は戦術の一つであり、突き詰めることで大きな武器になります。
牽制アウトは試合の流れを変えられるプレーですので、ぜひ練習して自分たちの武器にしてください。
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