野球漫画おすすめ ~球児や指導者がハマる・熱くなる理論派マンガ~

知識

近年では、様々な媒体から野球の戦術やトレーニング等に関する知識を得ることができます。その中で今回は、野球漫画を紹介します。最近の野球漫画は、面白いのはもちろんですが、技術や練習方法、知識など理論的な内容を取り扱っているものが多いです。

そこで今回は、野球漫画大好きな筆者の主観で、選手や指導者の参考になる理論的な野球漫画をランキング形式で紹介します。

評価ポイントは
・技術:技術面で参考になる内容か
・知識:参考になる知識を学べる内容か
・モチベーション:モチベーションアップにつながる内容か
の3点で評価します。

また、筆者が印象に残った場面も紹介するので、参考にしてみてください。

おすすめ野球漫画 第5位 ダイヤのA

完結(全81巻)
作者:寺嶋裕二

評価
技術:3.0
知識:2.0
モチベーション:4.0

第5位は「ダイヤのA」です。高校野球漫画の王道ともいえる漫画で、高い人気を誇っています。

この漫画の特徴は、高校野球がリアルに描かれている点です。リアルな描写が多いのは、実在の選手やシーンを参考にして作画するスタイルが影響していると考えられます。

とにかく描写がリアルなため、筆者も読んだときは感情移入してしまい、後悔しないように頑張ろうとモチベーションアップにつながりました。

このように「ダイヤのA」は、困難を乗り越える姿や野球と向き合う姿勢がリアルに描写されているため、キャラクターに感情移入し、「自分も頑張ろう!」という気持ちになります。

現役の高校球児や、これから高校球児になる方は特にモチベーションアップにつながると思いますので、おすすめです。

おすすめ野球漫画 第4位 ラストイニング

完結(全44巻)
作者:中原裕

評価
技術:3.0
知識:4.0
モチベーション:3.0

第4位はラストイニングです。監督が主人公という珍しい漫画です。

舞台は関東某県にある私立彩珠学院高校野球部です。この高校は甲子園初出場で初優勝を果たした過去がありますが、現在は毎年1、2回戦での敗退続きの弱小校です。
そこで、13年前の同校野球部キャプテンで、現在は悪徳商法で留置所にいる鳩ケ谷に新監督の依頼が来ます。
問題児監督・鳩ケ谷圭輔が、高校球界の常識を変えるさまを描いた漫画です。

印象に残っているのは、鳩ケ谷が率いてから初めての練習試合です。(18話・単行本2巻)

監督の鳩ケ谷は捕手に「1イニング1失点してこい」という指示を出します。1失点だけするために「ホームランで1失点してから後続を抑える」「2アウト取ってから1失点する」など試しますが、上手くいきません。
1失点するためには、相手の攻め方投手の心理など、様々な要素を考慮する必要があります。
そして、相手の得点パターンを読めれば1失点しても追加点は許さず、自分たちで試合を作れるようになるということを鳩ケ谷が実戦を通して伝えるシーンです。

このように主人公が監督ということで、選手の心理戦術などにフォーカスした描写が多いです。「部員を(イヌ・ネコ・サル)の3タイプに分類する」「0番打者理論」など、独特の指導法は非常に面白いです。

また、練習方法等も多く描画されていて、実力の土台固めを軽視していない点も特徴です。学校や選手の設定も特別ではないため、感情移入もしやすく、モチベーションアップにつながりやすいです。 練習方法や格上のチームに勝つ方法など、選手にも参考になる内容です。
また、主人公が監督ということもあり、指導者は特にモチベーションが上がると思いますし、内容も参考になるのでおすすめです。(私もこの漫画を読んで「監督やりてぇー」と何度思ったことか・・)

おすすめ野球漫画 第3位 ベー革

連載中(2024年5月時点5巻)
作者:クロマツテツロウ

評価
技術:3.0
知識:5.0
モチベーション:3.0

第3位はベー革です。「ドラフトキング」の作者でもあるクロマツテツロウ先生が描く漫画です。

甲子園を目指す主人公は、昨年神奈川ベスト4の新鋭強豪校、私立相模百合ヶ丘学園に進学します。しかし、そこの野球部のルールは「平日の練習は1日50分」「月曜日は休み」といったものでした。
科学的なアプローチで野球に革命を起こそうとする高校野球部を描いた漫画です。 印象に残っているのは、監督の乙坂が新入生に対して初めて話す場面です。(第1話・単行本1巻)

平日の練習時間は50分、月曜日は休みという方針を聞いて、新入生は動揺します。そんな新入生に対して乙坂は、「大事なのは練習量ではなく、練習の質だ」と言い切ります。
運動神経や反射神経、状況判断、実戦感覚、メンタル、これらすべてを脳が処理していることを踏まえて、乙坂は「アタマを使え。アタマを鍛えろ。」と言い、最後に「オレと、ベースボール革命を起こさないか?」と選手に伝えます。

このように「ベー革」は、とにかく理論的な漫画です。そして、理論的な野球だからこそぶつかる壁もしっかりと描写されています。

作者のクロマツテツロウ先生は元高校球児で、野球を良く知っているからこそ描ける漫画だと感じます。「髪型自由」「練習はトレーニングウェア」など、野球界の固定観念を見直す良い機会になる内容です。

また、内容は少ないですが、筋トレや食トレに関する描写もあり、学ぶきっかけになると思います。今後、巻数が増えてどう変化していくのか楽しみです。 科学的なデータに基づいた内容ですので、選手、指導者ともに参考になると思います。また、野球界の伝統や常識を見直す内容ですので、野球ファンもハマると思います。
連載開始からすぐのため、巻数も少なくおすすめです。

おすすめ野球漫画 番外編 カテナチオ

連載中(2024年5月時点5巻)
作者:森本大輔

評価
技術:0.0
知識:0.0
モチベーション:0.0

番外編で紹介するのは「カテナチオ」というサッカー漫画です。この漫画を紹介する理由は、格上相手と戦うための考え方やメンタリティが学べるからです。

高校のサッカー部に所属する主人公・嵐木八咫郎は、プロサッカー選手になることを目標としていたが、県予選決勝で敗れ挫折しかける。しかし、たまたま来ていたイタリア1部チームのスカウトの目に留まり、高卒でイタリアに渡る。周りより明らかに能力の劣る主人公が、イタリアで格上相手にどのように戦っていくのか。 印象に残っているのは、高校サッカー部のチームメイト・上元が主人公の努力をみて感じた一言です。(第3話・単行本1巻)

結果がすべてじゃないよ。ただ、きっと「結果がすべて」と信じて努力した過程がすべてだ。

このブログでは、公立高校や進学校など条件が不利なチームに向けた格上相手との戦い方を紹介していますが、この漫画も格上相手と戦う際の参考になると思うのでおすすめです。

公立進学校野球部の戦い方 ~強みを活かして格上相手に勝つには~
公立進学校の野球部員や指導者で「弱くはないけど、上位まで勝ち進めない」「部員の強みを活かせていない気がする」といった悩みを抱えている方はいませんか。近年の高校野球は私立高校が台頭しているため、公立高校が上位進出するのは難しくなって...

おすすめ野球漫画 第2位 砂の栄冠

完結(全25巻)
作者:三田紀房

評価
技術:3.0
知識:5.0
モチベーション:4.0

第2位は「砂の栄冠」です。ドラマ化された「ドラゴン桜」の作者でもある三田紀房先生の野球漫画です。

舞台は埼玉県立樫野高校野球部です。同校は夏の県大会決勝まで勝ち進むも逆転負けを許し、あと一歩で甲子園出場を逃します。そして、2年生で唯一レギュラーだった七嶋が新チームの主将になります。
その七嶋に、野球部のファンである老人のトクさんが現金1000万円を託し、七嶋は再び甲子園出場を目指すことになります。「お金」や「大人の事情」などブラックな側面が多く描かれている野球漫画です。 印象に残っているのは、ストライクとボールのジャッジが安定しない主審に対する七嶋の対応です。(第29話・単行本4巻)

投手の七嶋は捕手に対して、ボールの判定でも不満そうなアクションはしないように指示します。一方で、相手バッテリーは主審の判定に不満な態度を見せます。すると、徐々に主審の判定が七嶋に対して甘くなります。
「審判だって人間で、気に入らないやつに対しては自然と判定が辛くなる、それなら”カワイイ高校球児”を演じて、”この子に勝たせたい”と思わせる」という七嶋の思慮深さが見られたシーンです。

このように「砂の栄冠」では、技術的な話というよりは、試合における戦い方心構えのような、他では扱っていない内容を多く扱っています。

観客に応援されるために「どのような高校球児を演じるのか」、審判を味方にするために「どのようなプレーを心掛けるのか」という、今まで考えたことがない「自分たちの見せ方」について考えさせられました。 筆者自身の野球の見方、意識が大きく変わるきっかけとなった漫画です。選手、指導者どちらにもおすすめです。

おすすめ野球漫画 第1位 おおきく振りかぶって

連載中(2024年5月時点37巻)
作者:ひぐちアサ

評価
技術:5.0
知識:5.0
モチベーション:4.0

モチベーション:4.0

第1位は「おおきく振りかぶって」です。

舞台は埼玉県立西浦高校野球部です。野球部は新設で監督は女性、選手は全員1年生です。そんな野球部が弱気で卑屈な投手・三橋を中心に甲子園優勝を目指す物語です。

「おおきく振りかぶって」に対して、青春野球漫画という印象を抱いている方は多いと思います。たしかに、「新設の野球部」「1年生だけ」といった設定を聞くと、現実感がないという印象を受けます。

しかし、繊細な心理描写や日常の細やかな描写から、「これが高校野球のリアル」と評価されている漫画です。

印象に残っているのは、メンタルトレーニングの指導員が話す場面です。(51話・単行本28巻)

指導員の「試合に勝つには心・技・体のどれが1番重要だと思う?」という質問に対して、選手は全員”心”を選びます。続く指導員の質問は

「”体”のトレーニングを毎日やっている人?」→ 全員の手が挙がります。
「”技”のトレーニングを毎日やっている人?」→ 全員の手が挙がります。
「”心”のトレーニングを毎日やっている人?」→ 誰の手も挙がりません。 指導員は
「”技”と”体”は毎日練習して、上手くなる。でも、”心”についてはチーム全員が1番重要と考えているのに、ほとんど鍛えていない。理由は、メンタルのトレーニング方法を知っている人が少ないから。」として、
「メンタルも毎日トレーニング!これは基本!」と選手に伝え、メンタルトレーニングを開始します。

このシーンは、すごく説得力がありました。これをきっかけに、自分自身もメンタルトレーニングについて調べ、意識するようになりました。「おおきく振りかぶって」では、このようなメンタルトレーニング食トレケガ予防など後回しにしがちな知識を、物語の中でわかりやすく解説しています。

また、参考文献までしっかりと記すという、ひぐちアサ先生の丁寧さが伝わります。得られる知識参考になる話がとても多いため、この漫画を1位にしました。

指導者の描写も多く、得られる知識も多いため、選手と指導者ともにおすすめです。また、マネージャーが働く描写も多いため、サポート側の方にもおすすめの漫画です。

おすすめ野球漫画 まとめ

今回は、選手や指導者の参考になる理論的な野球漫画をランキング形式で紹介しました。評価ポイントで順位を付けましたが、ストーリー自体はどれも面白いのでおすすめです。

野球漫画でモチベーションも上がりますし、内容がマイナスに働くということありません。そのため、野球漫画は選手・指導者ともにおすすめです。

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