・バッティングが伸び悩んでいる
・オフシーズンにバッティングのレベルを上げたい
このように考えている選手や指導者の方へ。バッティングを良くするために重要だと言われているのが、スイングスピードの向上です。
この記事では、スイングスピードを上げるメリットや目安、練習方法について解説します。結論から言うと、スイングスピードを上げる際に大事なことは、最大値を上げるのではなく、平均値を上げる(再現性を高める)ことです。
スイングスピードを上げるメリット
まず、スイングスピードを上げるメリットについて解説します。スイングスピードを上げる最も大きなメリットは、選球眼が良くなることです。
スイングスピードが上がるということは、スイング開始からインパクトまでの時間が短くなるということです。つまり、スイング開始を遅くでき、ボールを長く見られます。
良い変化球ほど「手元で変化する」と表現されます。スイング開始を遅くすることで、そのような変化球も見極められます。
上の図のように、スイングスピードを上げることで見極められる変化球が増えるため、選球眼が良くなります。
その他にも、飛距離が伸びる、ボールに力負けしない、打球速度が上がるなど、スイングスピードを上げるメリットは多く存在します。
スイングスピードの目安
次に、スイングスピードの目安について解説します。スイングスピードを上げるにしても、目標があることで練習の質も上がります。
プロ野球選手の平均スイングスピードが140キロ、高校球児の平均スイングスピードが120キロと言われているため、高校球児は130キロを1つの目標にするべきだと考えます。
しかし、大事なのはスイングスピードの値だけでなく、スイングスピードのばらつきです。研究によると、スイングスピードと長打率の間に相関がありますが、スイングスピードと打率の間には相関がないそうです。また、複数回スイングを測定した時のスイングスピードのバラつきと打率の間に相関があったそうです。
そのため、スイングスピードだけでなく、そのバラつきも意識してスイングスピードを測定することが重要です。
参考文献:バットスイングスピードの再現性と打撃成績との関係
第2回日本トレーニング指導学会大会, 笠原政志、山本利春、百武憲一、早川慶(国際武道大学)
また、スイングを数値化する大きなメリットは、選手のモチベーションにつながることです。しかし、スイングスピードの測定器がないという方も多いと思います。そんな方は、こちらの無料で測定できるアプリがおすすめです。
測定内容が打球速度になってしまいますが、数値化はできるので試してみても良いと思います。
また、スイングスピード測定器が欲しいという方は、チームで1台という持ち方でも良いと思います。おすすめのスイングスピード測定器を載せておくので、興味がある方は見てみてください。
スイングスピードを上げる練習方法
スイングスピードを上げる練習方法は2つあります。1つ目は、重いバット(または重り)を使った素振りです。
重いバットを使用する目的は、力をつけるためではありません。重いバットと普通のバットを交互に振ることで、速いスイングを脳や体に覚えさせるためです。
重いバットは振ってみればわかるのですが、トップの位置からヘッドが走るまでに時間がかかります。そして、そのあとに普通のバットを振るとヘッドが走りやすく、一時的にスイングスピードが向上します。
重いバットを10回、普通のバットを10回と交互に振ることで、そのスイングスピードを脳や体が記憶することで、早く振る感覚が身に付き、スイングスピードが上がります。
バットの重りに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。興味がある方はご一読ください。
2つ目は、連ティー(早打ち)です。重いバットを使用した素振りの目的が、速いスイングを脳や体に覚えさせることでした。一方で早打ちの目的は、振る力をつけることです。
連ティーとは、以下の動画のように連続でティー打撃を行うことです。
連ティーで大事なことは、しっかり、強くスイングすることです。上の動画の鈴木誠也選手の連ティーは、まさにお手本のような連ティーです。
筋トレは重量や回数を増やすよりも、正しいフォームで行うことが最も効果的です。そのうえで、重量や回数を増やすことで、最大限の効果が得られます。
連ティーも同様で、速さや回数を決めて行うと効果的な練習にはなりません。
筋トレと同様に、連ティーも正しいフォーム(しっかり、強くスイング)で行ったうえで、速さや回数を上げることで、最大限の効果が得られます。連ティーの速さや回数は、しっかり、強くスイングできる範囲の限界を設定することが重要です。
まとめ
今回の内容をまとめると以下のようになります。
スイングスピード まとめ
- スイングスピードを上げることで、選球眼が良くなる
- 高校球児は 130キロ が1つの目標
- 最大値だけでなく、バラつきにも注目する
- 練習方法は 重いバットを使った素振り と 連ティー
硬式の場合、スイングスピードが速くなってバッティングが悪くなるということはありません。バッティングが伸び悩んでいるならば、スイングスピードを数値化することで、バッティングのレベルを上げるという選択肢も考えてよいと思います。
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