セカンド送球のコツ ~盗塁阻止のカギはコントロールと難しい体勢のスローイング~

技術論

「セカンド送球の練習をしている」

「捕ってから投げるまで速くなった」

でも盗塁を刺せない!と悩んでいる方はいませんか?

やみくもに練習する、捕ってから投げるまで速くする、それだけでは盗塁を刺せるようにはなりません。なぜなら、肩の強さや捕ってから投げるまでの速さと同じくらい大事なことがあるからです。この記事を読むと、盗塁を刺すために大事なことと練習方法がわかります。

盗塁を刺すために大事なことは、コントロール難しい体勢のスローイングの2つです。

セカンド送球 コントロールと難しい体勢のスローイングが重要な理由

まずは、コントロールが重要な理由について解説します。コントロールが重要な理由は、単純にセカンド送球のタイムに大きく影響を与えるからです。

上の画像は、野手のセカンド送球の捕球体勢を表し、赤点は捕球位置を示しています。ほんの少しのずれですが、野手も動きながら捕球するため、Bの捕球位置ではAの捕球位置よりも約0.5秒タッチに時間がかかります。(筆者が現役時代に測った結果を参考)

ちなみに、本塁から2塁までの到達時間は

100km/hの球で約1.39秒

130km/hの球で約1.07秒

つまり肩を強くして、送球を100km/hから130km/hにしても到達時間は約0.3秒しか縮まりません。それよりも、セカンド送球のコントロールを磨くことがセカンド送球のタイムを縮めることにつながります。

次に、難しい体勢のスローイングが重要な理由について解説します。難しい体勢とは、ピッチャーの球がショートバウンドした時や、大きく外れた時の捕球体勢です。

前提として、筆者はセカンド送球のタイムを意識する際はベストタイムではなく、平均タイムを意識するべきだと考えています。

次のようなタイプが違うキャッチャーが2人いたらどちらが良いでしょうか。

A.投げやすい体勢で捕球したら必ず盗塁を刺すが、難しい体勢で捕球したらうまく送球できないキャッチャー

B.セカンド送球のベストタイムは A に劣るが、難しい体勢で捕球してもある程度のランナーの盗塁は刺すキャッチャー

筆者はBのキャッチャーの方が良いと考えます。理由は、リードとセカンド送球を分けて考えられるからです。

Bのキャッチャーは捕球体勢に関わらずスローイングできるため、バッターに集中してリードを組み立てられます。しかし、Aのキャッチャーはどうしてもランナーを意識したうえでのリード(ストレート、ショートバウンドしにくい球が多くなる)になってしまいます。

つまり、バッターに集中したリードをしたうえで盗塁を刺すために、難しい体勢のスローイングが重要ということです。

キャッチャーの仕事は盗塁をアウトにすることではなく、”チームを勝たせること”です。そのためにセカンド送球はベストタイムではなく、平均タイムを意識しましょう。

セカンド送球 練習方法

コントロールを良くする練習について紹介します。コントロールを良くするためには、セカンド送球の反復意識が重要です。

やはりコントロールは反復練習の賜物であり、一朝一夕で身に付く技術ではありません。

しかし、コントロールを意識している場合意識していない場合では、上達スピードが全く違います。そのため、セカンド送球をする際は、常にコントロールを強く意識しましょう。

そして、コントロールを良くするためにもう1つ重要なことは、指がボールの縫い目にかからなくても投げられることです。

軟式球(M号球、J号球)はくぼみがあるため、縫い目に指がかからなくても投げられます。しかし、硬式球の場合(特に試合球)は縫い目にかからない時は投げづらいです。

そのため、キャッチボールから様々な握りで投げることで、キャッチボールもよりコントロールを意識した練習になります。

崩れた体勢から投げる練習

つぎに、崩れた体勢から投げる練習を紹介します。

セカンド送球の練習を「近い距離から投げてもらって、捕って投げる」というように行っている方は多いのではないでしょうか。

フォームを定着させる、コントロールを良くするための反復練習が目的であれば、この練習方法が最適です。

しかし、この練習方法だけでは十分ではありません。セカンド送球は崩れた体勢から送球する場合もあるため、その練習をする必要があります。

体制が崩れる投球は、ショートバウンドした時ミット側にそれた時の2パターンです。

投球がショートバウンドした時やミット側にそれた時は、キャッチャーの送球も乱れることが多いです。そのため、これらの反復練習を行うことで、崩れた体勢から送球できるようになり、実戦的なスローイングが身に付きます。

また、実戦的なスローイングを鍛える最も良い機会は、試合中のイニング間のセカンド送球です。

イニング間のセカンド送球をなんとなく行っている選手も多くいると思います。しかし、実際に投手がマウンドから投げ、実戦に近い状況でセカンド送球を行える貴重な機会のため、意識してセカンド送球を行うようにしましょう。

セカンド送球 まとめ

盗塁を刺すために大事なことは

・コントロール

・難しい体勢から投げる力

です。しかし、キャッチャーの最も重要な役割はチームを勝利に導くことです。セカンド送球に固執しすぎず、1つの武器と考えて、チームを勝利に導きましょう。

また、盗塁阻止率が高いキャッチャーの共通点として、捕ってからの速さが挙げられます。以下の記事で、捕ってから速くする練習方法を解説しています。ぜひご一読ください。

セカンド送球のタイムを大幅改善 ~捕ってから早くする重要性・フォームとは~
肩が強くなくても盗塁は刺せます。盗塁阻止率が高いキャッチャーの共通点は捕ってから速いことです。捕ってから投げるまでの速さの重要性と、練習方法について解説します。

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