- 「スイングはワキをしめろ」
- 「バットは最短距離で出せ」
これらの指導は、ドアスイングにならないための指導です。
ドアスイングとは、簡単に言うと腕が体から離れているスイングのことであり、少年野球をやっている子供に多く見られるスイングです。
ドアスイングは百害あって一利なしのため、早めに改善することが重要です。
しかし、上記の指導ではドアスイング自体は矯正できますが、他に弊害が生まれます。
そこでこの記事では、ドアスイングについて、原因や改善方法などを詳しく解説します。
ドアスイングが良くない理由
ドアスイングとは先ほども触れましたが、腕が体から離れているスイングのことです。腕が離れているとは、腕が伸びた状態でスイングしているということです。
腕とバットが一直線で、ドアの開け閉めの動きに似ていることからドアスイングと呼ばれているそうです。
そして、ドアスイングが良くないと言われている理由は3つあります。
1つ目は、力が伝わらないからです。
本来ならインパクトの瞬間に上半身の力で押し込みますが、最初から腕が伸びていると上半身の力を伝えられません。その結果、ドアスイングは体の回転だけで打つことになるため、力が伝わりません。
2つ目は、ミート力が低くなるからです。
スイング時には遠心力が働くため、内側から外側にはバットが出やすいですが、反対に外側から内側にバットをコントロールするのは難しいです。ドアスイングは外側からバットが出てくるため、インコースの球に対してミート力が低くなります。
3つ目は、スイングスピードが上がらないからです。
本来なら腕をしならせるように使うことで、体全体の力を無駄なく利用でき、スイングスピードが上がります。しかし、ドアスイングだと腕が伸びて固定され、体全体の力が伝わらないため、スイングスピードが上がりません。
これらが、ドアスイングが良くないと言われる理由です。
ドアスイングが良くない理由
- 力が伝わらない
- ミート力が低くなる
- スイングスピードが上がらない
ドアスイングになる原因
ドアスイングになる原因は2つ挙げられます。
1つ目は、バットの重さが合っていないことです。
バットが重いとヘッドが出ず、バットに引っ張られて腕が伸びた状態のスイングになるため、ドアスイングになりやすいです。見栄を張ったり、筋トレになるという理由で重いバットを使用する選手がいますが、自分に合った重さのバットを使用することがバッティング上達への近道です。
特に、小・中学生は身体的な変化が大きいため、バットが自分に合っているかを常に意識することが重要です。
2つ目は、体の開きが早いことです。
体の開きが早いと、バットが体から離れてドアスイングになってしまいます。また、体の開きが早くなる原因として、下半身から回す意識が強すぎることが挙げられます。
インパクト時にはバットが追いついて体の正面より少し前でとらえる形が理想です。しかし、下半身から回す意識が強すぎるとバットが追いつかず、結果的に体が開く形になってしまいます。
下半身から始動は間違いではありませんが、下半身始動でバットが追いついてくる感覚も意識しましょう。
ドアスイングになる原因
- バットの重さが合っていない
- 下半身始動の意識が強すぎて体の開きが早い
ドアスイングの改善方法
最後に、ドアスイングの改善方法と「スイングはワキをしめろ」「バットは最短距離で出せ」という指導の弊害について解説します。
ドアスイングの改善方法は2つあります。
1つ目は、ネットの前での素振りです。
ネットから腕の長さより少し離れて素振りします。この際に大事なことは、バットがネットに少し当たるスイングを意識することです。
ネットが前にあるため、自然と腕が体から離れない(ワキがしまった)スイングになります。最初は窮屈に感じるかもしれませんが、慣れれば普通にスイングできるようになります。
ネットに少し触れる理由は、体が開かないようにするためです。ネットに当たらないようにするには、ワキをしめるだけでは不十分のため、体を開いてバットを逃がす形になります。先述の通り、体が開くのはドアスイングの原因になるため、逆効果です。そのため、ネットに少し当てる意識が重要です。
2つ目は、自分に合った重さのバットの使用です。
先ほども触れましたが、バットの重さが合っていないと、どんな練習をしても逆効果になります。特に少年野球のうちは、正しいスイングを身に付けるために自分に合ったバットを使用しましょう。
バットの重さの目安は、野球初心者や低学年の場合は、身長に合う長さで一番軽いものがおすすめです。高学年の場合は、自分がしっかり振れる範囲で重ためのバットがおすすめです。
バット選びに関しては、以下の記事を参考にしてみてください。
また、「スイングはワキをしめろ」「バットは最短距離で出せ」という指導は、ドアスイングは矯正されますが、正しいスイングにはなりません。
「ワキをしめろ」という指導は、腕が体から離れないようにする意図があります。しかし、アウトコースを打つ時には腕を伸ばすため、ワキを開かないと打てません。
ワキをしめるのは「振り始めからインパクトの前まで」です。これを理解できているのならばよいのですが、小・中学生、特に野球を始めたばかりの小学校低学年の選手が理解するのは難しいです。
そのため「ワキをしめなければいけない」と思わせるのではなく、自然とワキがしまるスイングを身に付ける練習方法が最適です。
その点では、「バットは最短距離で出せ」という指導は、自然とワキがしまるスイングを身に付ける指導です。しかし、「最短距離で出す」となるとバットは上から振り下ろすことになります。
赤:最短距離(ダウンスイング)
青:レベルスイング
少し前までは、「バットは上から下に」という指導者がいましたが、その打ち方(ダウンスイング)だとボールを点でしか捉えられません。ボールの軌道にのったスイング(レベルスイング)の方が面で捉えられるため当たる確率が高くなります。
赤:ダウンスイング
青:レベルスイング
黒点線:ボールの軌道
ちなみに近年では、フライボール革命の考え方に基づき、ホームランを狙うスイングもありますが、小学生には合わないと筆者は考えます。理由は、フライボール革命を実践するためのスイングスピードや筋肉量に小学生は到達できないからです。詳しくは以下の記事で解説しているので、興味がある方は読んでみてください。
ドアスイングの改善方法
- ネットの前で素振りする
- 自分に合ったバットを使用する
- 自然にワキがしまる練習方法でスイングを身に付ける
- スイングの軌道をレベルスイング
ドアスイングまとめ
今回の内容をまとめると以下のようになります。
ドアスイング まとめ
- ドアスイングは力が伝わりにくく、ミート力も低くなるため良くない
- バットが重すぎることと体の開きが早いことがドアスイングの原因
- ドアスイングの改善方法は、ネットの前での素振りと自分に合ったバットの使用
- 自然にワキがしまる、レベルスイングになる練習方法が最適
ドアスイングは上手く打てないだけでなく、バッティングフォームもかっこよくないため、野球が楽しくないと感じてしまいます。
そのため、少年野球でドアスイングで悩んでいる選手がいたらかっこいいフォームになるように指導してください。
その手助けになれば幸いです。
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